「サウナは何℃がいいんですか」——導入前によく聞かれます。施設の体感から100℃を想像する方が多いのですが、家庭用サウナで100℃を使う必要はほとんどありません。むしろ、温度を欲張らないほうが続きます。ドライ・スチーム・ソフトそれぞれの現実的な設定と、その決め方を書きます。
先に答えを書きます。家庭用のサウナで最初に合わせるなら、この数字です。
ここから、自分の体調と好みで上下させてください。温度は据付のときに固定されるものではなく、毎回変えられます。「うちのサウナは何℃と決めておかないといけない」わけではない、というのがまず大事なところです。
そのうえで、なぜこの数字なのかを順に書きます。読むのが面倒な方は、この2行だけ覚えて帰ってもらって構いません。
サウナ施設の温度計は90〜100℃を指していることが多い。あれを基準にすると、家庭用サウナは物足りないと感じてしまいます。でも、施設の温度には施設なりの事情があります。
ドアが何度も開き、人が入れ替わり、広い部屋の温度が絶えず下がる。高めに設定しておかないと、下がったときに温まらないからです。ドアが一日中開閉されない家のサウナに、その余裕は要りません。
もうひとつ。施設は「往復の手間をかけて来たぶん、しっかり入って帰る」場所です。15分入って水風呂、これを3セット。その前提で温度が決まっています。家のサウナは違います。毎日入れるのが最大の利点で、1回あたりは短くていい。短く入るなら、温度も高くなくていい。
職人からひとこと
納品後しばらく経って「最近は何℃で入ってますか」と伺うと、最初は90℃で入れていた方が80℃前後に落ち着いていることがよくあります。低いほうへ動く方が多く、高いほうへ動いた話はあまり聞きません。最初から高温で使い切ろうとしなくて大丈夫です。
TYLÖのドライサウナは、概ね40〜110℃の範囲で使えます。幅が広いので、どこを使うかで性格が変わります。
「せっかく買ったのだから高温で使わないと損」と考える必要はありません。使わない余力は、上げたい日に上げられる余裕です。毎回110℃で使うために買うものではありません。
逆に、部屋の大きさに対してヒーターの出力が足りていないと、上げたくても上がらない・上がるまで時間がかかる、という不満が出ます。ここは機種選びの段階で決まるところで、部屋の容積からヒーターのkWを逆算します(ドライサウナのページと機種の選び方に載せています)。
スチームサウナは事情がまったく違います。温度は最大でも55℃前後。快適に使う帯は45〜55℃で、40℃前後で入る方もいます。ドライの数字を見たあとだと低く感じますが、湿度がほぼ100%あるので体感はまったく別物です。
湿った空気は熱を伝えやすく、汗が蒸発しないので体温が逃げません。だから40℃台でも10分座っていれば全身から汗が出ます。スチームサウナとはで詳しく書きましたが、「低温だから効きが弱い」ということはありません。
そしてこれは、温度で失敗したくない方にはそのまま利点になります。上げすぎようがないので、設定を間違えてのぼせる、という事故が起きにくい。高温が苦手な方、ご家族で温度の好みが割れている家では、この「上限が低い」ことがそのまま選ぶ理由になります(スチームサウナのページ)。
同じ理由で、もうひとつソフトサウナという選択肢もあります。65〜80℃・湿度20〜30%で、ドライほど熱くならず、スチームよりは温度が高い中間の帯です。「ドライは熱すぎる、スチームは物足りない」という方はここが合うことがあります(ソフトサウナのページ)。
3タイプの違いはスチームvsドライ比較に一覧で並べてあります。
温度だけを単独で決めようとすると、たいてい迷います。温度と時間はセットです。
温度を上げれば短い時間で汗が出ますし、下げれば同じところに行き着くのに時間がかかります。どちらが体にとって良いかを比べたデータを弊社は持っていないので、そこは断定しません。ただ、毎日続けるつもりなら、高いほうへ寄せる理由はあまりない、とは言えます。
家庭用のドライサウナが設定温度に達するまでは、機種と部屋の大きさにもよりますが概ね20〜40分。ここも温度と関係します。90℃まで上げるなら当然その分待ちますし、80℃で足りるなら待ち時間も短くなります。アプリ連携の機種なら帰宅前に予約運転できるので、この待ち時間は気にならなくなります。
入っている時間そのものについてはサウナは毎日入っていい?に書いたとおりで、家で毎日やるなら1回8〜12分、1セットで十分です。長く入るほど良い、というものではありません。
実務的な話をひとつ。設定温度は、そのまま電気代に効きます。
サウナの電気代は、上げるときに使う分と、上げた温度を保つために逃げた分を足し戻す分でできています。室内と外の温度差が大きいほど熱は速く逃げるので、高い温度を狙うほど、上げる分も保つ分も両方増えます。使うたびに効いてくる話なので、年単位で見ると差は小さくありません。
具体的な金額の出し方は家庭用サウナの電気代に計算式ごと書いてあります。ここで言いたいのは、温度を下げるのは我慢ではなく、実利があるということだけです。
なお、ドライとスチームのどちらが安いかは、部屋の大きさや1回に入る時間で逆転するので、弊社は一般論で断定していません。同じ機械の中で温度を下げれば下がる、という関係のほうは、どちらにも共通します。スチームは水も使いますが、30分あたり約3Lと少ない量です。
温度そのものより、温度に絡んで失敗する箇所のほうが実害が大きいので、3つだけ挙げます。
1と2は、入ってみれば自分で分かります。3だけは買う前にしか決められないので、ここは相談してください。
温度で迷っている方への、現実的な順番です。
正解はありません。毎日入りたくなる温度が、その家の正解です。KOYOは1985年創業、水回り施工40年。販売から設計・据付・アフターまで自社一貫で見ていますので、据付のあとに「どうも温度が決まらない」となっても、そのままご相談いただけます。
※本記事は一般的な考え方をまとめたものです。適切な温度・時間には個人差があり、体調によっても変わります。血圧が気になる方・持病のある方は主治医にご相談ください。対応温度は機種によって異なりますので、正確な仕様は価格表・機種ページをご確認ください。具体的なご相談はこちらから。