「サウナは入れたいけど、電気代が怖い」——見積りの前にいちばん多く聞かれるのがこれです。結論から言うと、家庭用でおおよそ1時間あたり120円が目安。ただしこの数字は前提を書かないと意味がありません。何で決まるのか、1回・1か月でいくらか、断熱でどこまで変わるのかを、計算の前提ごと出します。
メーカー(TYLÖ/輸入元オストコーポレーション)の目安では、家庭用でおおよそ1時間あたり120円くらいからとされています。これは1kWhあたり30円で試算した場合の数字です。弊社のよくある質問にも同じ数字を載せています。
正直に言うと、この手の金額を1円単位で当てにいくのは無理です。機種の出力、部屋の断熱、地域と契約プランの単価、季節、そして何より使い方で動きます。桁と幅をつかむための数字だと思ってください。以下、その幅がどこから出てくるかを分解します。
家庭用のドライサウナヒーターは6.6kWや8kWです。単純に8kW×1時間×30円で計算すると240円。ところが目安は120円前後。倍違います。なぜか。
サウナヒーターは設定温度に達すると入切を繰り返します。1時間ずっと全開で燃えているわけではありません。全開に近いのは立ち上げ(予熱)の間で、温度が乗ってからは、逃げたぶんを足すだけの動き方になります。だから「定格出力×時間」で出した金額は、実際より多く見積もることになります。
この性質から、電気代を下げる勘どころが一つ出てきます。電気を食うのは「温めるまで」だということです。入っている時間を10分延ばすことより、予熱の回数のほうが金額に効きます。家族が別々の時間に入って3回温め直すより、続けて入ったほうが安く済む、という単純な話です。
職人からひとこと
「つけっぱなしにしたほうが安いですか」ともよく聞かれます。使わない時間まで保温するのは、待っている間ずっと逃げる熱を払い続けるということです。1日に何度も入る日でなければ、都度立ち上げるほうが素直です。
前提を書いてから計算します。1時間あたり約120円(1kWhあたり30円)、1回は予熱+入浴でおよそ1.5時間。この2つを掛けるだけです。
くり返しますが、これは上の前提での掛け算です。契約プランの単価が違えば比例して動きますし、断熱が甘い部屋なら次の章のとおり跳ね上がります。それでも、「毎日入ったら家計が破綻する」という規模の話ではないことは分かってもらえると思います。施設に通うときの入館料と交通費を思い浮かべて比べてもらうのが、いちばん実感に近いはずです。
なお、これはランニングの話だけです。本体と工事を含めた初期費用は別の記事にまとめました(サウナ設置の総額)。
出力の数字だけ並べると、こうです。
「じゃあスチームが安い」と言いたくなりますが、そう単純ではありません。電気代は出力の数字ではなく、その部屋を狙った温度に保つのに何kWh使ったかで決まります。部屋の大きさ、断熱、1回に入る時間しだいで逆転もします。同じ条件で並べて比べたデータを弊社は持っていないので、どちらが安いかを一般論で断定はしません。
ただしスチームには、電気とは別に水がかかります。目安は30分で約3L。金額としてはごく小さいものの、ゼロではありません。設置面では、発生器を浴室から3m以内に置ければ今のユニットバスに後付けできます(スチームサウナとは)。
ここが本題です。同じ機種でも、電気代は施工で変わります。
断熱が甘いサウナ室は、温めても熱が逃げ続けます。すると2章で書いた「温度が乗ったら入切する」という前提が崩れ、ヒーターが止まらなくなる。実際に電気代が月1〜3万円増えた例もあります(後悔する7つの理由にも書きました)。初期費用の数万円をケチって、毎月それを払い続けるのは損です。
部屋の大きさも同じ理屈です。サウナの必要出力は部屋の体積で決まります。大きい部屋には大きいヒーターが要り、温める空気の量も増える。1人でゆっくり入るなら、大きい必要はありません。天井を無駄に高くしないのも効きます。
細かいところでは、ドアのパッキンの当たり、ガラス面の面積、換気口の作り方も効いてきます。どれも図面ではなく、現場で詰めるところです。
ランニングコストは電気だけではありません。正直に並べます。
どれも大きな金額ではありませんが、「電気代だけ見ておけばいい」ではない、というのは先に言っておきます。
電気代で後悔しないために、業者に確認しておくとよい点です。弊社に対してでも、他社に対してでも構いません。
使い方と部屋の条件さえ分かれば、電気代の目安も含めて総額でお答えします。浴室や置きたい場所の写真1枚からで構いません。熱さの感じ方そのものは人それぞれなので、実際に入ってみたい方は新横浜のショールームで体験できます(体験する・予約制)。
※本記事は一般的な考え方をまとめたものです。金額は1kWhあたり30円で試算した目安であり、契約プラン・地域・季節・機種・断熱・使い方によって変わります。実際の単価はご契約中の電力会社の明細でご確認ください。各機種の出力は価格表・機種ページに掲載しています。具体的なご相談はこちらから。