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自宅サウナの水風呂とクールダウン

執筆:榎(水回り施工40年・KOYO代表)公開:2026年8月

ご相談の九割はサウナ室の話です。ところが、実際に使い始めてから「思っていたのと違う」と言われるのは、たいていサウナから出たあとのこと。熱くなった体を冷やす手段と、そこまで歩く動線。この2つが抜けていると、どれだけ立派なサウナ室でも物足りなく感じます。家で現実的にできる冷やし方を4つ、水回りの施工屋の目線で正直に比べます。

1.結論:先に決めるのは「出たあとの3歩」

サウナ室をどこに置くかより先に、出たあとに3歩でどこへ行くかを決めてください。冷やす場所と、休む場所です。ここが決まっていない計画は、たいてい後から困ります。

家で使える冷やし方は、現実的にはこの4つです。

  • シャワー——追加の工事なし。今日から使える
  • 浴槽に水を張る——今ある設備で一番しっかり冷える
  • チラー(冷却装置)——一年中同じ冷たさ。ただし条件が多い
  • 外気浴だけで組み立てる——水を使わない。冬は十分、夏は厳しい

どれが正解ということはありません。使う季節、置ける場所、かけられる費用で変わります。順番に見ていきます。

2.「整わない」の正体は、冷やす手段が無いこと

「家のサウナは施設ほど気持ちよくない」という声を聞きます。原因はヒーターの力ではなく、冷やす工程が抜けていることがほとんどです。

温めて、冷やして、休む。この3つが揃って初めて、あのすっきりした感じになります。サウナ室だけを立派に作って、出たら廊下、というつくりだと、温めるところで話が終わってしまう。後悔する7つの理由でも、水風呂が無いことを理由の3番目に挙げています。

そして冷やす工程は、まるごと水回りの領域です。給排水、防水、床、換気。サウナ屋ではなく、風呂を作ってきた人間が考えたほうが早い部分です。

3.冷やし方① シャワー——追加工事なしで、一番手軽

今ある浴室のシャワーを冷水で使う。工事も費用もかからず、置き場所も要りません。まずはここから始めて構いません。

正直に言うと、弱点もあります。浸かるわけではないので、体の芯まで冷えるのに時間がかかること。それから水温です。同じ蛇口でも、冬の水と夏の水は別物で、夏場はぬるくて物足りなく感じることがあります。施設の水風呂が一年中同じ冷たさなのは、冷却装置で温度を保っているからです。家の蛇口はそうではありません。

浴びるときは、いきなり頭からいかないこと。手足の先から順にかけて、体を慣らしてからにしてください。

4.冷やし方② 浴槽に水を張る——今ある設備で一番冷える

浴槽に水を張れば、それが水風呂です。肩まで浸かれるので、シャワーとは冷え方がまったく違います。新しく設備を買う必要もありません。

引っかかるのは、水そのものより運用です。

  • 張る手間——入るたびに張るのか、張ったまま置くのか。置くなら衛生面の管理が要ります
  • 家族との取り合い——お湯を張る日と重なると、どちらかが我慢することになります
  • 水道代——地域と契約で単価が違うので、金額はここでは出しません。現地調査のときに、お住まいの単価で試算してお渡しします
  • 夏の水温——ぬるいと感じる時期は、氷や保冷剤で足す方が多いです

職人からひとこと
既存の浴室にスチームを後付けする方式だと、サウナ室と浴槽が同じ部屋になります。出て一歩で水風呂、その場でシャワー。動線を考える必要がそもそも無いのが、この方式の地味だけれど大きい利点です。スチームサウナのページ →

5.冷やし方③ チラー(冷却装置)——本格的だが、条件が多い

水を冷やして温度を保つ装置です。入れれば、真夏でも施設と同じ冷たさの水風呂になります。憧れる気持ちはよく分かります。

ただ、条件が一気に増えます。

  • 電源——専用の回路が要ることがあります。サウナ本体の200Vとは別の話です(電源工事のコラム
  • 置き場所と排水——本体を置くスペースと、水の出し入れができる場所が要ります
  • 運転音——屋外に置くなら、隣家との距離を先に見ます。夜に使う設備なので、ここは軽く見ないほうがいい
  • 取扱い——弊社の価格表にチラーは載っていません。入れる場合は他社の製品を組み合わせることになります

費用も本体だけでは終わりません。総額のコラムで書いたのと同じ構造で、設置と電気の工事が乗ります。総額は現地調査のうえ最初に提示し、後から追加請求はしません。チラーを検討されるなら、その前提でご相談ください。

6.冷やし方④ 外気浴で組み立てる

冷やすのは水だけではありません。ベランダ、庭、窓を開けた脱衣所。外の空気に当たるだけでも、体はしっかり冷めます。

冬なら、これだけで十分という方も多いです。逆に真夏は、外に出ても冷めません。季節で使える月と使えない月がはっきり分かれるのが、この方法の性格です。シャワーと組み合わせるのが現実的でしょう。

用意するものは大げさではありません。座って休める椅子が1脚と、濡れた足で立てる床、そして近隣からの視線を遮るもの。この3つです。実のところ、体感を一番変えるのは冷やし方より「座って休める場所があるかどうか」だと、私は思っています。

7.濡れて歩く距離と、床と、温度差

ここからは設備屋の話です。冷やし方を決めたら、次の3つを必ず見ます。

  1. 濡れたまま歩く距離——サウナ室・冷やす場所・休む場所が一直線に近いほど続きます。廊下やリビングを濡れて横切る計画は、まず定着しません
  2. その経路の床——洗面所や廊下の床材は、水がかかり続ける前提で作られていないものが多いです。継ぎ目から水が入ると、傷むのは表面ではなく下地です
  3. 温度差——冬の脱衣所が冷え切っていると、温冷の差が想定より大きくなります。暖房や断熱を先に手当てしておくほうが安全です

水がかかる場所が増えるということは、乾かす手間も増えるということです。換気とお手入れの考え方はお手入れのコラムにまとめました。

そして順番の話に戻ります。サウナ室の場所は、冷やす場所と休む場所から逆算して決める。広さの検討(必要な広さ)に入る前に、ここを決めておくと迷いません。

8.うちならどれか、から聞いてください

ご用意いただきたいのは写真だけです。浴室、脱衣所、そして冷やす候補になりそうな場所(ベランダ・庭)。この3枚があれば、どの方法が向いているか、動線をどう組むかの見当がつきます。

KOYOは1985年創業、職人12名。販売から設計・据付・アフターまで自社一貫でやっています。サウナだけを売る会社ではなく、風呂と給排水をずっと触ってきた会社なので、冷やす側の相談こそ本業です。

実際に入って確かめたい方は、新横浜のショールームで体験もできます(予約制・体験のご案内)。「うちの風呂、水風呂に使えますか」だけのご相談も歓迎です。できないことは、できないと正直にお伝えします。

※本記事は一般的な考え方をまとめたものです。温冷の切り替えは体への負担を伴います。血圧・心臓に不安のある方、持病のある方は主治医にご相談のうえ、無理のない範囲でお楽しみください。水温や設備の可否は現場の条件によって変わります。機種と価格は価格表を、具体的なご相談はこちらからどうぞ。

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